―糖尿病とはどんな状態?―
<糖尿病の定義>
インスリン分泌の欠損、インスリン作用の低下、またはその両方によって、血液中のブドウ糖(血糖値)が慢性的に高くなる病態。
長期間にわたる高血糖は、目・腎臓・神経・心臓・血管などさまざまな臓器に障害・機能不全・故障をもたらします。
糖尿病・高血糖の改善は二次的な障害を予防する観点でも重要となってきます。また、運動は高血糖や糖尿病に対して有効との報告も多数されており、これらの改善には運動習慣をつけることが良いと推奨されています。
―糖尿病とインスリンの関係―
私たちの体は、食事から摂った糖(ブドウ糖)をエネルギーに変えて活動しています。
そのとき重要なのが「インスリン」というホルモン。
インスリンは、血液中の糖を筋肉や肝臓の細胞の中に取り込ませる“カギ”のような働きをしています。
しかし、生活習慣の乱れや運動不足が続くと——
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インスリンが効きにくくなる(=インスリン抵抗性が高くなる)
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筋肉が糖を取り込めなくなる
このように血液中の糖を身体が上手に使えなくなり、血糖値が高い状態が続きやすくなります。
―高血糖、糖尿病改善に必要な運動の種類―
- レジスタンストレーニング(抵抗=負荷をかけたトレーニング)
- 有酸素運動(ウォーキング、エアロバイクなど)
これらの運動を組み合わせて行うことで血糖値や糖尿病の改善に有効であるとされています。
ただし、運動の強度・頻度・期間・対象者の体力や年齢により結果が異なるため、「運動療法は糖尿病改善に良い影響を与えることが示唆されている」と理解するとよいでしょう。 (参考文献1,2,3,:Umpierreら,Caiら, Zhaoらより)
ー各運動が血糖値に影響するメカニズムー
レジスタンストレーニングの働き
レジスタンストレーニングとは自重でのトレーニングやゴムチューブ、重り、マシーンを使用したトレーニングなど軽負荷から高負荷まで負荷をかけて行う筋力強化トレーニングの事です。

① 筋肉量が増えることで「糖を使う場所」が増える
筋肉は体の中で最も多く糖を消費する臓器です。筋トレによって筋肉量が増えると、血液中の糖を受け入れる“貯蔵庫”が大きくなり、結果として血糖が下がりやすくなります。つまり、「筋肉を増やすこと=血糖を使う能力を高めること」につながります。
② インスリンの効きが良くなる
筋肉を動かすことで、細胞の中でインスリンを受け取るための仕組み(インスリン受容体や GLUT4 など)が活性化するといわれています。これにより、同じ量のインスリンでもより多くの糖を細胞の中に取り込むことができるようになります。言いかえると、“インスリンが効きやすい体”になるのです。(参考文献4:川口らより)
③ 代謝が上がり、太りにくい体へ
筋肉が増えると、安静にしているときの消費エネルギー(基礎代謝量)も増加します。これにより脂肪が燃えやすくなり、体重管理や内臓脂肪の改善にも効果があります。脂肪が減ることでさらにインスリンの効きが良くなり、好循環が生まれます。
有酸素運動(ウォーキング・エアロバイクなど)の働き
有酸素運動は、比較的軽い負荷で長時間続けられる運動のことを指します。ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水中ウォーキングなどが代表的です。

① 運動中に血糖を直接消費する
有酸素運動では血液中のブドウ糖をインスリンに頼らず取り込みエネルギーとして利用します。そのため、運動中から血糖が低下しやすくなります。(参考文献5:Sylowらより)
② インスリン感受性(インスリンの効き)を高める
有酸素運動を続けるとインスリン感受性が高まり、その効果は運動後1〜2日続くとされています。定期的な継続が重要です。(参考文献6:Hawley らより)
③ 脂肪燃焼と体重コントロール
有酸素運動は脂肪をエネルギーとして利用するため、体脂肪や内臓脂肪を減らす効果もあります。脂肪が減ることで、インスリン抵抗性が改善し、血糖コントロールがより安定します
―まとめ―
レジスタンストレーニングは「糖を使う力を高める体」をつくり、有酸素運動は「糖を燃やす力」を高めます。
この2つを組み合わせることで、血糖コントロールの改善がより期待できます。
大切なのは、無理をせず自分に合った強度で継続することです。
日常の中に少しずつ運動を取り入れ、“インスリンがよく効く体”を目指していきましょう。
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(運動で血圧が下がる仕組みを説明しています。是非、ご覧ください!)
参考文献
1) Umpierre D, Ribeiro PA, Kramer CK, et al. Exercise training modalities in patients with type 2 diabetes mellitus: a systematic review and network meta-analysis. Int J Behav Nutr Phys Act. 2018;15:72.
2) Cai Z, Wang L, et al. Effectiveness of combined aerobic and resistance exercise on adults with type 2 diabetes mellitus: a systematic review and meta-analysis. Arch Phys Med Rehabil. 2023.
3) Zhao X, et al. Intervention effect of combined resistance and aerobic exercise on type 2 diabetes: a meta-analysis. World J Diabetes. 2025;16(7):108121.
4) Kawaguchi R, et al. Resistance training, skeletal muscle hypertrophy, and glucose homeostasis: a systematic review and meta-analysis. J Diabetes Res. 2023.
5) Sylow L, et al. Molecular mechanisms by which aerobic exercise induces insulin sensitivity. J Physiol. 2019;597(15):3753–3762.
6) Hawley JA, Lessard SJ. Exercise training-induced improvements in insulin action. J Appl Physiol. 2008;105(3):774–782.








